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失敗したくない若手経営者に伝えたい「幸福論」

幸せに生きる、とはどうあるべきなのか。これは哲学や宗教にお任せすべきテーマだと思います。ただし、ビジネスにおいても成功を左右する重要な要素が「幸福」の味わい方ではないかと思います。ビジネスが当たって大儲けしても幸せにならなければ意味がありません。

華々しいキャリアを元々積まれてこられた方や、独立後に順調に成功された方が陥る「不幸」とは何なのか。どうれば「幸福」になるのか。私なりに考察をしてみました。「不幸」を避け、常に「幸福」にビジネスを頑張りたい方の指針になれば幸いです。
今回は、問題をシンプルにするために主に物的な価値から生じる「幸福」の図式を考えたいと思います。

■幸福を与えてくれるモノの価値は、2つの要素から成り立っている

モノの価値は、ざっくり言うと2つの要素から成り立っています。
1つ目は、そのモノの期待されている機能に対しての価値です。例えば、車だったら安全に運転できる機能一式をさしますし、椅子であれば長時間座っていても疲れない椅子でしょう。ハイブリッドカーは、車そのものの価値に燃費と環境性能という機能を追加したことにより機能に対する価値を高めた車です。2つ目は、ブランドやプレミアムに対しての価値です。全く同じ素材のカバンであっても、無名のメーカーとエルメスのカバンでは価値が全くことなります。カバンという機能に対する価値(1つ目の価値)は、それほど差はありませんが、ブランドの価値の割合が多くを占めるために価額が高くなります。更にいうと、機能に対する価値はある程度上限が見込めることに対して、ブランドやプレミアムに対する価値は青天井の価値となり、時計一つで家が購入できるほどの値段になることもあるわけです。
一般的に、機能に対する価値よりブランドやプレミアムに対する価値が大幅に上回る商品を”贅沢品”と定義されることが多いといえます。ちなみに価値と価格は一般的には比例します。ただし価値が高くなればなるほど、価値と価格の間にある比例定数が高くなる(効率が悪く)なります。
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■1回で感じる幸福には限界がある!?

人間はなぜ幸福感を感じるのでしょうか。それは脳内麻薬物質であるドーパミンが分泌され、脳の報酬系に働きかけることによって幸福感を感じることになります。もちろん、ドーパミンは人間の体の中にあるものなので、1回で放出されるドーパミンの量には限りがあります。つまり、とても嬉しいことがあったとしても、一定以上の幸福感が得られることはないということです。
また、ドーパミンが放出されるのは、現在自分が得てきた価値とこれから受ける価値(購買したり、体験したり、手に入れたりするもの)の差分がプラスになる時です。つまり、物を買った時にこれまで買ったモノとの価値の引き算がプラスの値であれば「幸福」として感じるわけです。これを私は、価値の引き算と呼んでいます。
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例えば、今まで家賃6万円の1Kに住んでいたAさんが宝くじで1000万当選したとします。Aさんが、家賃20万の1LDKに住むと、当然幸福に感じます。ただし、家賃50万の2LDKに住んでみるとどうでしょうか。最初の感動は少し違うかもしれません。ただ感じる「幸福感」はどちらも最大限で差がほとんどないものなのです。他にも1000CCの国産車に乗っていた人が、ポルシェを買うのと、BMWを買うのでどうでしょうか。実は価格が違っても得られる「幸福感」には限界があるためどちらも満足する最大限の「幸福感」を得てしまいます。これを私は、オーバーハピネス(Over Happiness)と呼んでいます。
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■不幸を感じる仕組み

幸福の感じ方についてご理解いただけたと思います。そうすると不幸の仕組みが浮かび上がってきます。
ここで不幸の定義として、幸福を感じない状態と、不幸を感じる状態の2つがあると考えます。
まず、幸福を感じない状態というのはなにか、これは「慣れ」です。家賃50万の家に住んでいても、毎日住んでいるわけですから価値の引き算はプラスマイナスゼロとなります。つまり幸福は感じません。高い家賃の家に住み続けたとしても幸福を感じれないわけですから、不安になります。もっと高い家に住もうか・・・と考え始めることでしょう。これはギャンブル依存症のメカニズムの1つとしても考えられている機構です。※ギャンブル依存症のメカニズム(博打で勝つと嬉しい→でも博打で前回と同じだけ勝っても同じだけの幸福感が得られない→もっと勝つまで博打をやめられなくなる→勝てないとさらに不安になり辞められない)

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次に、不幸を感じる状態は何かというと、価値の引き算がマイナスになる状態です。Aさんの例でいうと、家賃50万の家から家賃20万の家に引っ越す状態を指します。明らかに、家賃20万の家の方が価値が低いので、価値の引き算はマイナスです。Aさんは家賃20万の家が十分な価値を持っているかどうかに係わらず不満を感じるでしょう。Aさんの脳の中は家賃50万の家でドーパミンのバランスが保たれているわけですから、家賃20万の家にいるとドーパミンのバランスがおかしくなります。ここで、皆さんはあれ?っと感じることがあるでしょう。そもそもAさんは家賃6万の家に住んでいたわけだし、家賃20万と家賃50万の家でオーバーハピネスが起こることによって感じる幸福は一緒じゃないかと。ここが不幸を感じる仕組みの恐ろしいところです。オーバーハピネスを起こしていても、次の価値の引き算の基準になるのは、家賃50万の家。最初に受ける幸福は同じなのに、不幸を感じる確率と度合いがあがるわけです。
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■「幸福」に生きる方法のご提案:私の幸福論

ビジネスにおける成功には、金銭的な収入も紐付いてきます。もちろん金銭的な収入を増やすことは誰もが夢見ることですし、資本主義において正しいことです。ただ、成功によって短期間の間に収入が劇的に増えることは、不幸の仕組みのスイッチを入れてしまう可能性が高いと私は考えています。それは成功した対価・ご褒美だと思って、贅沢品を購入してしまうことです。200万の車に乗っていたところから、一気にフェラーリに手が伸びてしまうかもしれません。安い時計から宝石がちりばめられた数百万の時計を購入してしまうかもしれません。これは、明らかにオーバーハピネスを引き起こしています。オーバーハピネスを引き起こすことを、価値のジャンプアップと呼びます。もし、成功が短期間で終わったら、あなたは元の生活に戻らなければいけないのです。その時に、価値の引き算を行うのは最も成功した時に購入した贅沢品が基準になります。価値のジャンプアップは不幸を呼び込みます。
私の幸福論はシンプルです。200万の車から300万の車にしてみましょう。この差でも十分な「幸福感」が得られます。そして、次の成功時に400万の車にしてみましょう。きっと十分な「幸福感」が得られます。自分の成功した度合いや収入に比例して、購入する商品の単価を決めるのではなく、価値は少しずつステップアップさせて常に次に幸福がつながるようにするべきです。決して価値のジャンプアップをしてはいけません。ステップバイステップで、すこしずつ満足していく仕組みにすること。これが幸福と仕事の成功を両立させる秘訣の1つではないでしょうか。

東京大学大学院修士卒、アクセンチュア株式会社の経営コンサルティング本部戦略グループに入社。同社退職後はオーストラリアに永住し、各種事業の責任者をしています。

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